プライベートで海外旅行に行く程度であれば英語を必ず話さなければシチュエーションは少ないですが、ビジネスにおける出張や転勤になれば必ず必要になるはずですです。
そんなときに必要になるのがリスニング能力です。
そこでこの記事では、英語のリスニング能力向上法について説明したいと思います。
まず初めにリスニングは、4つの技能の中で、マスターしておかないといけない技能です。
スムーズなコミュニケーションを行うにも、相手の言っていることが聞き取れなければ先に進めないからです。
では、リスニングを阻む要因は何か、何がリスニングを難しくしているかについて、考えてみましょう。
目次【本記事の内容】
① 語彙力
当然のこの語彙力がないと、リスニングができません。
知らない単語を聞いて、内容を理解することは不可能だからです。語彙力は「語・威力」、この力がないと、全ての技能が身に付きません。
会話の状況では、分かりにくい単語は、What did you say? say?(何と言われましたか?)とか、
I m afraid I just cannot understand the word you mentioned now. now.(今おっしゃった単語が理解できません)、あるいは、聞いたまま繰り返して、語尾を上げると疑問のようになるので、その単語の意味を教えてもらえるでしょう。
② 文法力(構造が分からない)
文法力も重要な力です。
これもリスニングに限らず、他のリーディングやライティングでも重要になってきます。
文の構造が理解できなかったら、1つ1つの単語や熟語が分かっても、全体で何を言っているのか、皆目分かりません。
文法力は「文の法力」。この力も極めて重要ですね。
文の構造が分かりにくい場合、 Would you say that again in more simple sentences?(それをもう少しシン プルな文で繰り返してください)などと言えばよいでしょう。
文の構造が簡単になれば、分かる可能性があるからです。
③ 内容(内容が抽象的)
内容が抽象的であれば、分かりにくいです。
普段から、抽象的なことを思考する訓練でも受けて いない限り、恐らく分かりにくいでしょう。
でも、分かりにくければ再度繰り返して欲しいとか、言い換えて欲しいとか言えば、何とかなるものです。
例えば、 Would you be more specific? specific?(もう少し具体的に言ってもらえますか?)などと聞けばよいでしょう。
④ 音声の特徴(音法の 理解が不足)
以上の語彙と文法と内容は、他の技能習得にも関わっていますが、リスニング特有の問題も、聞き取りに影響します。
それは、正に、発音やイントネーションの理解の不足です。英語の音声 に関わる知識(=音法)をしっかりと学んでおくこと が、リスニング能力向上に有効です。 特に、注意すべきことを5つ挙げてます。
(1)音の種類 「ア」の五種類 hat, hot, hut, height, heater
日本語で「ア」に聞こえる音が、英語では5つあります。
hatの「ア」は「ア」と「エ」の中間音、hotの「ア」はあくびのときの「ア」、hutの「ア」は驚きのときの「ア」、heightの「ア」は「アイ」という二重母音の「ア」、heaterのterの部分の「アー」は曖昧母音の「ア」です。
英語の二重母音の「アイ」は「ア」を強く発音し、日本語の「愛」における「アイ」のように「ア」と「イ」を同じ強さで発音しません。
(2)音の差 母音編 [ji][イ][i][エ][e]の段階
子音編 ngerの発音 singer,hangerとfinger,stronger
日本語の「イ」は英語の[i]とは異なり、「エ」は[e]とは異なります。[ji][イ][i][エ][e]の順に、強い「イ」から強い「エ」に変化していきます。
だから、pinはペンとピンの間の発音なので、「ペン」のことだと勘違いすることのないようにしないといけません。
さて、ngerで終わる単語の発音にも注意しましょう。
ngで終わる動詞の後にerを付けた場合、鼻に抜く「ガー」となり、名詞や形容詞の語尾がngerとなる場合は、鼻に抜かない「ガー」となります。だから、singerやhangerは鼻音(鼻に抜く音)で、fingerやstrongerは鼻に抜かない音となります。
hungerは「飢え」という意味の名詞なので、鼻に抜きません。hangerとの音声の違いに注意しておきましょう。
(3)音の連続t音のt化water, butter, little
t音のn化 going to want to
t音について、注意すべきことがあります。
tは語頭では強く、語尾では消え、真ん中でrのような音に変わります。
例えば、timeは「タイム」ではなく、「ツァイム」と聞こえます。
visitは「ヴィズィ」のようにtが聞こえません。真ん中にtが来るとき、rのような音になります。
例えば、waterは「ワラ」、butterは「バラ」、littleは「リロー」のように聞こえます。
t音が頭に来ても、それがtimeのような名詞ではなく、機能語(特に意味を持たない語)で、しかも、そのtの前のほうにnがあれば、tはn音と同化する傾向があります。
だから、going toは「ゴナ」、want toは「ワナ」となります。
(4)速く発音されると全く単語の痕跡を残さない
例えば、 Wait a minute. minute.(ちょっと待って)という表現は、英語のうまい日本人が速く発音すれば「ウエィラミニッ」ぐらいに聞こえます。tがr化して、最後のtの発音が殆ど聞こえません。
しかし、これぐらいなら分かりますね 。アメリカ人が速く発音すると、「ワラミ」というように聞こえることがあります。注意しましょう。
(5)リズムと抑揚が大切
「ポテト」よりも「バディドオウ」
「インテグレーション」より「イニグレーショ」
英語では、リズムや抑揚が大切です。potatoはもちろん「ポテト」ではなく、「ポティトゥ」と発音するのですが、音声よりもリズムと抑揚が大切であるということを覚えておきましょう。
potato が「バディドオウ」でも通じるでしょう。いやリズムや抑揚が同じであれば「ブダードウー」でも通じる可能性があるのです。
また、integration(総合)は「イニ グ レーショ」のように聞こえるのです。
日本人がそのまま読んだら「インテグレーション」ですが、これは英語的ではありません。
英語のリズムは3拍子、日本語のリズムは4拍子であると言われています。
例えば、日本語の五七五の俳句なども、実は、4拍子のリズムがあります。
古池や蛙跳びこむ水の音
ふ る いけ や・ ・・ / かわ ず・ とび こむ / みず の・ おと ・・
注: [ ]1つで1拍。
英語において、3拍子で発音できる単語は、日本語では4拍子になる可能性があります。
例えば、
internationalという単語は3拍子、その日本語的発音の「インターナショナルは4拍子で発音できます。
international inter / nat / ional (3拍子)
インターナショナル イン / ター / ナショ / ナル (4拍子)
意味と発音が一致する例があります。
ある英単語の発音が、偶然その意味を表す日本語と殆ど同じ場合があることを述べておきましょう。
例えば、soは「そう」の意味だし、oweは「負う」の意味です。英語では、そのようなことは非常に珍しいのですが、英文の意味が英文の発音であることはもっと稀です。
2つの例を挙げておきましょう。
What do you mean? →ワット、ドゥユーミーン。→「は、どういう意味?」
So it s a trying job. →ソウ 、イツァトライングジョブ。→「そいつはつらいんじゃ」
他にも面白いかもしれない語呂合わせがあります。時々、語 呂合わせは、単語力を増強させるのに役立ちます。
その例がasceticismとhedonismです。
asceticismは、発音が「焦って沈む」と聞こえ、「苦行主義」の意味です。
hedonismは、発音が「非道に住む」と聞こえ、「快楽主義」の意味です。
難しい単語は、語呂合わせで覚えるとよいでしょう 。
易しい単語は、文の中で覚えるのがよいので、語呂合わせは適切な覚え方ではありません。
音と意味の不思議な一致現象というのがあります。
それは、英語のみならず、他の言語でも見られます。
例えば、ハンガリー語で、料 理に対して「味が薄いね。塩が足りないよ。」は「シオタラン」というとよい と言われています。
エチオピアで話されているアムハラ語では、「どうしたの?」は「ドナイシタンヤ」(大阪弁っぽい)と言えばよいし、「のろのろするな」は「アンタトロトロ」と言えばよいのです。
スペインとフランスの間にあるバスク地方で話されているバスク語では、「これしかないよ」の意味が「コリバカリダ」で表せ、日本語の意味に近いですね。
LとR
LとRの不思議な話というのがあります。
Lが入っている短い単語とRが入っている短い単語には、イメージの差があります。
L=静、遅い 、気楽 、明、軽、 イメージ
R=動、速い 、大変 、暗、重、 イメージ
具体例を挙げましょう。
L= lake; cloud; slow; play; light; slight; s leep; delight; walk; p lay; flight
R= river; rain; rapid; work; dark; serious; rise; anger ; run ; pray ; fright
英語における短い単語(つまりラテン系の言語から入ってきたのではなく、元来の英単語)については、Lが入っている単語とRが入っている単語が対比的です。
簡単に言えば、不思議なことに、Lが入った単語は「静的」で、Rが入った単語は「動的」なイメージのものが多いのです。
lake(湖)は穏やかな感じであるが、river(川)は水の流れがあるし、cloud(雲)はゆっくり動くが、rain(雨)は確かに動きが激しいイメージがあります。
確かに、「遅い」はslowで、「速い」はrapidなので、LとRは対比的であるのが分かります。
LとRの対比で、上記に単語を挙げていますので、じっくり見ておいてください。
もし、LまたはRが入っている短い単語でイメージがつかみにくい場合は、上記のイメージを参考にしたらよいと思います。
先に述べたLとRに関する本の中で、日本語と英語の発想が似ていること、2文字目にLまたはRが入っている単語についてのイメージを論じている箇所があります。
これは、単語の意味を知るのに有益なものであると思うので、例を2つ紹介します。
FLで始まる単語の特徴
1つ目は FLで始まる単語の特徴です。
FLで始まる単語、先ほどと同様、iとaを入れると、FiLa(フィラ)となり、日本語のヒラヒラに近くなります。
実は、FLで始まる単語は、ヒラヒラと飛ぶイメージ、流れるイメージ、そして、光も流れるので、光るイメージから燃えるイメージまで醸し出します。
fly 飛ぶ、flow 流れる、fling 投げる、flip 弾く、flux 流れ、flush 紅潮する、fluent 流暢な、flash 閃く、flare 輝く、fluid 流体、flame 炎などです。
注意するべきなのはflush toiletと言えば「水洗トイレ」です。
FRで始まる単語の特徴
2つ目はFRで始まる単語の特徴です。
FRで始まる単語は、uをFとRの直後に入れると、FuRu(ふる)となり、震えるイメージ、にごらせると、正に、ぶるぶるとなり、寒さや恐怖のイメージです。
また、Rの直後にaを入れるとFuRa(ふら)となり、ふらふらは弱さと怠惰のイメージになります。
FRで始まる単語は、寒さや恐怖、弱さや怠惰のイメージの単語が目立ちます。
fright 恐怖、frost 霜が降りる、freeze 凍結する、frigid 極寒、free 暇な、freewheeling 気楽な、frivol ぶらぶら過ごす、frail もろい、frailty 弱さなどです。
具体的な聞き取り方
次に具体的な聞き取り方について2つに分けて説明したいと思います。
完璧主義はダメ!
1つ目は完璧主義はダメということです!
まず、心構えとして、集中することは重要ですが、集中しすぎてはダメということが言えます。
途中分からないところがあったら、何なのかな?と思ってしまえば、次の英語を聞けなくなる危険性があります。
だから、途 中分からないところがあっても、そのまま聞き流し、次の英語に集中することが肝心です。
聞き取りには、完ぺき主義は禁物だということです。
集中力を継続すること
2つ目は集中力を継続することです。
例えば、次の文を見てみましょう。
A quota of five cars a week is the lowest. (1週間に5台のノルマが最低だよ)
網掛けの部分は、機能語で特に具体的な意味を持っているわけではありません。
このような単語は、英語では弱く発音されます。
また、quotaが[kwoura],cars a weekがcards are weakに聞こえる可能性もあります。
quotaは「ノルマ」という意味の単語です。
リスニングが怖いのは、たとえ 単語を知っていても、その単語に聞こえないことがあるという点です。
quotaはまあまあレベルの高い単語です。
この単語を知っていることは素晴らしいのですが、聞き取りのときに、「クワラ」と聞こえて、何のことか分からないならば、残念ですね。
また、別の表現に聞こえて、cards are weakみたいに、その意味を引きずるのも危険です。
聞き取り能力をUPさせる勉強法
では、具体的 に聞き取り能力をUPさせる勉強法を紹介しましょう。
① 聞き流す hearing
② 集中して聞く(意味を理解しようとして聞く) listening
③ スクリプトを音読する reading aloud
④ 聞きながら音読する reading aloud and listening
⑤ シャドーイング(聞きながらリピートする)
上記の①に書いたように、まず、机に向かうような勉強以外の時間帯を利用して、聞き流すということを行いましょう。
この練習により、英文の音声に慣れることを目指します。
最初のうちは、意味が分からなくてもOKです。次に机に向かって勉強する際、②の集中する聞き取りも必要です。
聞き流しはhearですが、集中して聞くのはlistenです。
hearのみならずlistenの訓練が必要なのです。このとき、意味も理解してから、更に聞くことです。
聞き取り能力を更に高めるには、③の練習、すなわち、聞き取っている英文が書かれたスクリプトを読むということ、そして、④の練習、すなわち、スクリプトを見ながら、音声も聞きながら音読すること、最後には、⑤の練習、スクリプトを見ないで、音声を聞きながら、その音声をまねて発音 すること(=これは「シャドーイング」と言います)を行うと完璧でしょう。
少話多聞・少書多読
まとめとしては、少話多聞(listen more, speak less)、少書多読(read more, write less)といった法則があります。
聞き取りの練習は、英語コミュニケーション能力向上のための第1歩となります。
聞き取りの練習と話す練習のどちらを先にすると、全体としてのコミュニケーション能力が高まるかというと、それは聞き取りです。聞き取りの練習を基本とするべきでしょう。
リスニング能力を高める練習が、自然にスピーキング能力の向上への基礎固めとなります。
一般に、話す練習は、聞き取り能力を高める基礎とはなりません。
だから「少話多聞」(しょうわたぶん)という言葉があります。
英語能力が高まって、英語が話せるようになったら、楽しくなり、スピーキングが練習の中心になる傾向がありますが、本物の英語力を手にするには、やはり聞き取りというインプットをする必要があるということです。
インプットによって語彙力や語法力が向上するからです。
新たなことを学ぶのは、常にインプットからです。
これに関連して、読み書きの練習にも、インプットである読みの練習を中心にすべきであるという「少書多読」(しょうしょたどく)考え方もあります。
聞くことは(1)賢くなる 情報を得て、音の理解も可能(2)優しくなる 聞いてあげる
「聞く」ということは、情報を得るという意味で、「賢くなる」ことに貢献します。
同時に、人の話を聞いてあげることは「優しさ」も暗示します。
「聞いてあげる」ことで「優しくなれる」という側面もあるのです。
頭がよくなり、人間性も向上するのだから、「聞く」ということは素晴らしいことですね。
最後に不思議なhearと「聴」の共通点についてお話します。
「聞く」は「聴く」とも書きます。英語で「聞く」(=「聴く」)は、hear(またはlisten)です。厳密には、hear listenではありません。まず、hearとlistenの違いを覚えておきましょう。
I am poor at hearing. hearing.(私は聴力が弱い 耳が聞こえにくい)
I am poor at listening. listening.(私は聴解力が弱い 集中力がない)
ニュアンスの違いが分かると思いますが、英語の聞き取り能力が弱い場合、
I am poor at listening. でもいいのですが、ややいい加減な人間のように思われることがあります。
だから、I find some difficulty understanding spoken English.(会話での英語を理解するのがちょっと難しいです)程度の言い方が望ましいでしょう。
むしろ、だからどうして欲しいのかを述べるのがよいでしょう。
例えば、具体的にWould you speak more slowly, please?(もう少しゆっくりお話していただけませんか)などと頼むのがよいのです。
それから、次のように言えることも覚えておきましょう。
I just listened but couldn t hear anything.(耳を澄ましたのです が、何も聞こえませんでした)
つまり、I listenedと言った場合は、「注意して聞いた」の意味ですが、実際に聞こえたかどうかは分からないのです。
しかし、I heard と言った場合は、明らかに「聞こえたことを」を意味します。
listenとhearの関係は、lookとseeの関係と同じです。
I just loo ked around but could see anything.(見回してみましたが何も見えませんでした)
さて、最後に、実際に聞こえることを意味するhearという単語と、日本語の「聴く」が不思議なつながりを持っていることをお話しましょう。
hearという単語の中にearがあります。同様に「聴く」の漢字にも「耳」が入っています。
さらにhearにtをつけると、heartという単語ができ、意味は「心」ですね。
この「心」という漢字もまた、「聴く」という漢字に含まれています。
ところで、7734という数字は何の暗号であるか分りますか。
次の英単語をよく見てください。
he LL
lの部分が大文字になっていますが、 これは「地獄」を意味する英単語です。
この単語の 上下を逆にすると、7734という数字に似てきます。
つまり、hは4を意味するのです。するとhearやheartのhは「四」を表す のです。
この「四」もまた「聴く」という漢字に現れています。
また、heartという単語の最後のtは十に若干にているし、tenの頭文字でもあります。
h e a r t
四 耳 十心
聴=耳+十+四+心
つまり、上のように英語を分析すると、hearと「聴」が奇妙な関係であるのが分かるでしょう。
すなわち、hear(聴く)にtを足したheartを分析して、
<h =四、ear =耳、 t= 十、そしてheart =心>となり、漢字を全て組み合わせると「聴」という漢字ができるのです。
リスニングまとめ
以上の内容は「ビジネス英語ディスクリプション」という教材から学ぶことができます。
また、音声の特徴に関する内容を聞くためにはそのDVDを購入する必要があります。
以下の記事を読んで購入を検討すると良いでしょう。